何もない私と何かある彼女

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 お互い昼食がまだだったので、スーパーの中にあるファミレスに入った。 「チーズハンバーグセットとドリンクバーください!」  周りにいるちびっ子並に元気な華ちゃんと、 「えっと、サンドイッチと、私もドリンクバーで」  昨日華ちゃんのバルでたくさん食べたから、太らないように控えめにする私なのだった。  ドリンクバーで各々好きな飲み物を取って戻る。 「美香ちゃんって、美意識高いよね」  氷入りのコーラをストローでごくごく飲んでから、華ちゃんが感心したように言った。 「えっ、そうかな? いっつも華ちゃんのお店で、ビールとジャーマンポテト頼んでるのに?」 「それなのに細いもん。今だって、食べる量を調節してるでしょ。外は暑いのにホットの紅茶飲んで、カーディガンまで持参して。身体を労ってるって感じ」 「それは、私が冷え性なだけだよ」  私は恐縮した。ショップの服が細身だから、それを着て接客する身として、体型には気を付けている。  だけど、無個性な自分は華ちゃんに憧れる立場なので、褒められるのは違う気がした。 「それだけかなぁ。ショップに立つ美香ちゃんって、キラキラして見えるんだよね。私、店の前を通る時、一面ガラスのところから、さり気なく中覗いてたもん。他の店員さんより目立ってる。美香ちゃんから服買いたくなるよ」  ま、私の稼ぎじゃ、あのショップの服は買えないけど。そう言って、華ちゃんはカラッと明るく笑った。  頼んだ料理が運ばれてきて、会話が中断される。 「わ~い、美味しそう! いただきま〜す」  華ちゃんが目の前のハンバーグに真っ直ぐ向かっていったので、私は彼女にお礼を言うタイミングを逃してしまった。
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