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「そっか」
翠は、確かにこういうやつはめんどくさいなと思いつつ、オムライスの右端にスプーンを差し込み、一口食べた。甘くてしょっぱくて、少し酸っぱい。幸せはきっとこんな味をしているのだろう。
「嘘つきな大人は嫌い」
響葉はシラスの小鉢を食べながら言った。
その後話を聞いていると、響葉は幼いころに両親が離婚し、その後親戚の中を持ち前の癖のある性格がもとでたらい回しにされ、結果的に児養学校で生活することになったようだ。その時、形だけの「愛してるよ」「大好き」というような言葉をかけられたことで、嘘が嫌いになってしまったという。
翠と響葉は同時に、食事の最後の一口を食べた。
(幸せ、食べ終わっちゃった。)
響葉がトレイを持ち、サッと立ち上がる。翠は急いで響葉についていきながら、食器を返しに行った。
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