0人が本棚に入れています
本棚に追加
それから40分ほどバスは走った。景色は青田から市街へ変わり、吹く風は排気ガスの匂いがする。
『到着しました~ 降りる準備をしてくださいね~』
アナウンスが入り、バスはゴツゴツした建物の前で止まった。
バスから降りると、建物はより不思議な感じがした。立方体や直方体の集まった複雑な形の建物。二人ほど先生が出てきて、マニュアルを見ながら説明しだした。
「えー、みなさんこんにちは!」
「ちゃー」「うぃ」「…」と、周りからは多くの返事が返る。
「えーみなさんには、これからえー入学説明会を受けてもらいます!」
鬱陶しいという視線が飛んだ。
「場所は体育館です!」
他の先生たちが出てきて、早速体育館へ案内されるようだ。
展開が速すぎてついていけない。
「あっ、待って…」
頼みの綱の隣の子は、先頭でさっさと歩いてしまっている。
翠は人に押されるようにして進んでいった。
体育館の中は、プロジェクターが設置され、37脚のパイプ椅子が並んでいる。翠は隣の子を探し、ものすごいスピードで椅子を確保した。
「へぇっ、へぇっ」
「あんたさっきの…」
話をする間もなく、プロジェクターで入学説明会が始まってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!