First サイキッカー学園

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First サイキッカー学園

おお。なんか豪華な部屋に紹介された。いきなりこんな部屋に来ていいのかしら。 さっきの理事長室と比べるとちゃっちいけど大きな机にフカフカそうなベッド。私には全て「初めて」いや、こんな部屋で生活できるって幸せ者なのかも?親に捨てられたけど。 「今日は色々と疲れたし、シャワー浴びて寝よーと。」 っと呟いた時。 「え?転入生がこんな豪華な部屋なの?」 「能力すごいってこと?」 「ここ最高合宿室だよ。私たちは初めて通ったのに・・・。」  え??ここが最高合宿室?ってことは一番豪華?びっくり。 「ねーねー!転入生。どんな能力なの?」 「私たちはテレポート!」  そ、そんな能力存在するんだ。でも安心感の方が強い。思い切っていってみる。 「わ、私は、コピー能力です・・・。」  扉の向こうではっと息をのむ声が。 「最強能力じゃん!!」 「これだったら、女番長に勝てるんじゃ・・・?」  お、女番長?そんなのいんの?怖すぎない? 「まぁ、いいや。この寮について紹介するよ。」  と女の子が私の手を引っ張って進んでいった。 「ここが一階。」  女の子指した先はボロボロでライトがなきゃ前が見えないくらい。床は錆だらけで臭い。下水道の匂いだよ・・・。 「ド、ドアも壊れかけてる・・・。」  私が震えていると女の子が。 「レベルが一番低い生徒の寮。床は土。」  ええ!?酷すぎない?流石にそこまでしなくても・・・。 「んじゃ、次。」  女の子たちについていく。 「あ、さっきより豪華・・・。」  ホントにレベルで部屋分けられてる。けどこっちの方がごちゃごちゃしてないから私はいいな・・・。  真っ赤なロングカーペットが敷かれてる廊下。ところどころロウソク。部屋もちょっと豪華ってぐらいらしい。 「ああ!やっと来れたよ!最高合宿室!!」  女の子が目をキラキラ!!確かに、さっきより超豪華。廊下なのにフワッフワな カーペット。天井にはシャンデリア。う〜ん。ここが一番豪華なのはホント見たい。 「じゃあ、もう眠いし帰るね〜。」  女子たちがふわぁぁと大きなあくびをしながら階段を降りていった。 「私も寝るかぁ。」  そう呟きながら私の部屋に戻っていった。 「よく眠れたぁ〜!」  ふああああっと言いながら背中を伸ばす。 「着替えるかぁ。」  昨日もらった制服を着て、ふぅ。と一息つく。 「朝ごはん、もらいに行かなきゃ。」 「ってここ何いいい?」 昨日、同じ学校にいる女子生徒に学園を紹介してもらったのに全くわからない!この学園の地図をコピーすればよかった!!  今いるのは、赤いカーペットが敷かれてるなっがーい廊下。GPSもないから。うん、言うよ。みんな引かないでね。初日にMAIGO★ いや広すぎんだよ。実はこの学園地下にあるんだよね。理事長が席を外した隙に後ろの本棚にあった本で読んだ。昔、いろんな超能力者がいると外部に情報が漏れ、サイキッカー学園が襲われたのだ。 「地下にあるのに、こんな広いんだねえ?お金、半端なかったでしょ。」 なーんて独り言を呟きながら長い廊下を歩き続けた。終わりが見えません。こんなことありますか!? ピュンッ! 「!?!?」  後ろから、ワープして来たような音が聞こえたのだ。誰々・・・!? そのとき、昨日の会話を思い出した。 『私たちは、テレポート!』 もしかして・・・あの時の・・・? 「あ、やっぱり!昨日の人でしょ?」 後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。ちらっと振り返ると。 二つ結びでぱっちり目。確実に、私よりも年下。 「名前、言ってなかったね!私、ゆあん!ゆあって呼ばれてるよ。」 「そうなんだ・・・。ところで、私が・・・」 「迷子でしょ?食堂来なかったもんね。だから、一応見に来たの!」 「そうそうそう!!!だから、食堂まで連れってくださいいいいい!!」 私はゆあんちゃんに近づいた。 「大丈夫!私の手、握ってて!」 「?」 ピュンッ! 眩しい光が私を包み込む。思わず目を伏せた。 「・・・あれ!?」 気がつくと、食堂にいた。 「私は、昨日言った通り、テレポートできるの!テレポーテーション能力・・・略してテレポ。物体をテレポさせることもできるよ。」 なるほど。だから、私を食堂まで移動させることができたのね!すごい。 「あ、私こっちだから。じゃね〜。」 って言って隣にある部屋に入って行こうとした。 「え、そっちなの?私は?」 「えーと・・・名前は?」 「あ、四葉美咲だよ。」 「そう。美咲ちゃん。昨日、レベルによって部屋が違うって話したよね。それは、食堂も同じなの。」 「ええっ!」 「最高レベル・Denebは、豪華な食事なのよ。」 「へえ・・・。」 私はうなづいた。 「もう、朝ごはんの時間だから。終わったら、金時計に集合ね。」 「金時計?それってどこ・・・」 聞こうと思った時には、ゆあんちゃんはもういなくなっていた。 「えーっと、金時計、金時計・・・」 場所がわからなかったからとりあえず野生の勘を頼りに歩いてると、それらしいものに来た。 金ピカの時計・・・。これでしょ、金時計! 「あっ、先に来たんだ!美咲ちゃん!」 入り口からゆあんちゃんが手を振りながら来た。 「ここ、すごいよね。上に、大空の絵が飾られてるの。」 「え、あれ絵だったの!?」 リアルすぎてわからなかった・・・! 「で、続きだけど・・・。食堂もね、レベルによって違うの。」 ゆあんちゃんが話し始めた。 「あのお、なんか。食堂が綺麗すぎる気がするんだけど・・・。」 「Denebは、高級シェフがやってるらしいよ。五つ星のレストランとかでプロの人たち。」 「ええええええ」 驚き。そんなにするの、一番レベルの高い人たちには!! 「私の、中ぐらいは一人前のシェフ。三つ星レストランのシェフとかかな。」 「ふうん。」 って、三つ星レストランのシェフ、凄い人たちじゃん!!じゃあ、最高レベル担当の人たちは、世界的にプロのシェフ・・・?この環境に慣れてしまってはダメダメ!!感覚がバグっちゃうよ! 頭をブンブンと振っていたら、ゆあんちゃんが口を開いた。 「それで、一番レベルの低いとこは、最高レベルの人たちの食べ残し。」 ええええええええっ。それは酷すぎない? 「え、じゃあ・・・ない時もあるんじゃ・・・。」 「もちろん。その時は、格安のやつ。市販のパン。」 扱い最悪じゃん。差別みたいなものじゃん。 「私ねえ、もうすぐ、最高レベルに上がるの。」 ゆあんちゃんがニコニコしながら呟いた。 「レベルって、上がることがあるんだね。」 「もちろん。だから、逆の・・・下がるもあるってワケ。」 考えれば、そうかあ・・・。 「ねえねえ。私の双子の妹紹介するよ。」 ☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。.☆*:.。. 「へえ、双子の妹?は最高レベル在籍なの?」 「そう。羨ましい〜。」 廊下を歩いていくと、双子の妹が宿泊している部屋の前まで来た。 「2065。ここだよ。」 ゆあんちゃんが指差す。 「チャイムを鳴らすしか開けてもらえないんだよね。」 なんと、この学園は勝手に侵入してトラブルが起きないように部屋に入る時は、自分が持ってるカードキーか内側から鍵を開けてもらうしか方法がないらしい。 「厳重なんだねえ?」 ドアや、壁も「トントン」と叩いてみる。 「うわっ。絶対ドアとか壁、硬い素材使ってるでしょ。」 そうこう話しているうちにガチャリと音を立ててドアが開いた。 「あ、ゆあん。・・・と・・・?」 そうか、私たち会うの初めてだもんね・・・「美咲だよ」って教えようと思ったら、 「美咲ちゃんね!どうぞ、上がって!」 ・・・え?あれ?私名前言ったっけ? 「あ、あの・・・」 オロオロとしながら私はその子に声をかける。 「私は、ゆらん。ゆあんの双子の妹よ。・・・あなたが聞きたいことは、なんで私が言ってもないことがわかるか・・・よね?」 私は驚きが隠せなかった。ま、まさか・・・ 「あなたの超能力って・・・テレパシー?」 「そうよ。私はテレパシーなの。しかも、テレパシーの中でも強い方なのよ。複数人の心の中も聞こえる。ただ・・・」 「ただ・・・?」 「・・・理事長の心の中だけは聞き取れない。なんか・・・なんていうか・・・」 ゆらんが少々黙った。 「・・・理事長の心の中がよくわからない。なんというか・・・闇に包まれていて?うーん・・・。」 私はハッとする。最初、理事長室にいた時何度か理事長の脳内、能力をコピーしようと思ったのに・・・私もできなかった・・・どうしてだろう。 「やっぱり、美咲ちゃんもそうでしょ?理事長は何か隠してると思う。」 あっ、また心の中読まれちゃった・・・!? 「えへへ・・・私の自慢の妹。すごいでしょ?」 ゆあんちゃんが誇らしい顔をした。 「ねえ、私・・・図書室に行きたいな・・・。」 ゆらんちゃんが口を開いた。 「私も行ってみたいな。」 私がゆらんちゃんに続けて言うと。 「じゃ、テレポートしますか!」 ゆあんちゃんがニコニコして言った。 「え、待って!場所わかんないから紹介してほしかったんだけど・・・」 私が口を開いて言ったが遅かった。 「let'sGO!」 ピュンッ! あ、あああ・・・あっという間に図書室にぃ・・・。 便利すぎない・・・その能力・・・? 「ここね、図書室ってことになってるけど実際中は図書館ぐらいなんだよね。」 ゆあんちゃんが言う。 「え、ここがッ!?」 だって・・・見た感じ物置ぐらいの大きさなんじゃ・・・? 「まー入ったらわかるって!」 ゆらんちゃんが言った。私はドキドキしながら図書室に入る。 「・・・っえぇ!?」 入った途端、魔法がかけられたみたいな感じがした。だって、さっきは小さな部屋だったのに入ったら別な空間に入ったみたいな・・・これも誰かの能力なの!? 「あら、ゆらんちゃんたち・・・。今日も来たの?」 カウンターから声がした振り向くと、茶がみで三つ編みメガネをかけ、落ち着いた雰囲気の女の子がいた。 「初めまして。冬野よ。あなたは、確か最近きた四葉美咲ちゃんよね?」 「え!?何でわかったんですか・・・!?」 この人もテレパシー・・・!? 「全く、美咲ちゃん。同じ能力を持つ人なんてそうそういないよ・・・。」 ためいきまじりでゆらんちゃんが言った。 「私はこの図書室の司書だから。この学園に通ってる生徒の情報も全て把握しているわ。」 な、なるほど・・・。この図書室には学校の全データがあるってことか・・・。 「そ、それって理事長の情報とかもあるんですか?」 私は冬野さんに聞いた。けど冬野さんは少し黙って私たちの中にも沈黙が流れた。 「理事長も、この学園出身らしいし・・・もしかしたら、昔のデータ本にあるかもしれないわね。」 私は気になりすぎて冬野さんに質問攻めした。 「そのデータって何が入っているんですか?」 「その学園の生徒みんなの過去などもあるわ。年を重ねていくにつれ、どんどん書き込まれていくわ。あなたのことも知ってるわよ。例えば出生とかね・・・。」 え・・・。私の出生のことも書かれているの? 「え、美咲ちゃん・・・?どうしたの・・・?」 ゆあんちゃんが私の顔を覗き込む。けど、私は俯いたまま冬野さんに質問した。 「あなたは、どんな能力を持っていますか?」 「私は、あらゆる大きさの空間を創造して作ることができるわ。能力名は・・・Creative space。この図書館も私の能力で作った『想像の中の空間』なのよ・・・。」 「ってことは、今私たちは冬野さんの創造の空間にいるっていうことですよね!?じゃあ、現実は・・・!?」 これは、冬野さんの頭の中と言っていい空間。つまり「夢」みたいなもの。じゃあ、実際派一体どうなって・・・! 「・・・それは、まだ知らなくていいわ。」 冬野さんは少し黙ってから答えた。 「・・・え・・・?どういうことですか?まだ知らなくていいって・・・?」 私はカウンターに手を置いた。 「もう、帰りなさい。あなたは邪魔なの、今。」 と冬野さんが言うと見えない何かが私の制服の襟あたりを掴んで持ち上げた。 「ここは、私の想像の空間!!私が思ったことはここで何でもできる!!」 立ち上がって私を高く上げる。 「邪魔者を排除することだってね・・・。」 その時、ゆあんちゃんがカウンターに乗るととんで私の手を掴んだ。ゆらんちゃんもジャンプして私の手を繋ぐ。 「逃げるよ、美咲ちゃん!!」 ピュンッ! 気づけば、私の部屋の前に居た。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・」 ゆあんちゃんの息が上がってる。 「ゆあん!!能力使いすぎ!!」 ゆらんちゃんがゆあんちゃんに近づき背中をさする。そして私に顔を向けて言った。 「美咲ちゃんも!!あんな質問攻めしちゃだめ!!冬野さん怖いんだから!あの人、突然キレたりするから。」 とゆらんちゃんが言うとゆあんちゃんの肩を持った。 「もう夕方だ。私とゆあんは部屋に帰るよ。」 「えっ!?早くない!?」 さっきまで昼だったのにいつの間に、夕方になってるの・・・!? 「冬野さんの能力の一つよ。あの創造の空間に入ると外の世界の時間の進みが早くなるの。数分しかあそこに居ないけど、時間の進みが早くなったからこんな時間になってたの。」 へぇ・・・冬野さん、恐ろしいな・・・。そんな能力を持っているなんて。 「あと、言っておくけど最高のレベルはDenebじゃないから。ほんとは、さらに上のSiriusだから。冬野さんも、Siriusに属しているよ。」 というと、階段を降りていった。 「Sirius・・・か・・・。」 あの時の冬野さんの顔を思い出した。今考えても背筋が「ゾクッ」とする。あの無表情・・・目に光がなかった・・・!私は、冬野さんを怒らせてしまった・・・ということ。何か冬野さんの気にふれることを言っただろうか。 『ってことは、今私たちは冬野さんの創造の空間にいるっていうことですよね!?じゃあ、現実は・・・!?』 そうだ・・・!あの時、こんなこといった!そしたらキレたんだ!!やっぱりそれが冬野さんの気にふれたのかも・・・!?でも何でかしら・・・? 部屋に入って鍵を閉める。ふかふかのベッドにダイブして天井を見つめた。 「この学園、どうなってるんだ・・・」 差別の厳しさ、さらに上のランクの人たちの態度・・・やっぱりおかしい!! 「この学園に居ていいのかな・・・。」 私の心には黒いモヤモヤとした霧がかかっていた。 「・・・お風呂に入ろ・・・シャワーでも浴びようかな・・・」 と呟いて洗面所に向かった。 ジリリリリリリ・・・ジリリリリリ・・・・ジリリ がちゃん!! 私は勢いよく、なっている目覚まし時計を叩いて止めた。 「結局、あまり眠れなかったなぁ・・・」 この学園について気になりすぎて目が冴えてしまったんだ。 「図書室に行って調べたいけど、司書さんと顔を合わせるの嫌だなぁ・・・でもかといってここにいても安全かわかんないし・・・。」 ああっ!どうすればいいのぉっっっ!!
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