いのちを置いてるとこ

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 急いでスーパーの前を通り掛かったときにまだ聞き覚えの新しい声があった。こどもの声。振り返ると楽しそうに手を繋いで歩いてる看護師さんとその子供が居た。 「すいません。聞き足りなかったことがあるんです」  やっと見つけて心はまだ落ち着かないけど、おじさんに言われた「話さないとわからない」の言葉を抱えて彼は看護師さんに近付いて声を掛ける。 「どうしたの?」  それはまだ彼が居ることに気が付いていない看護師さんからではなくてその直ぐに振り返ったこどもからの言葉だ。 「会いたくてしかたない人が居るから聞きたくてね」  強い勇気なんてもう必要なんてなくただ素直に語るだけ。言葉は魔法のように心に伝わり奇跡なんてものだって簡単に叶うだろう。悪い日なんてもう続かない。 おわり
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