絡まる思い。 〈紅葉〉

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絡まる思い。 〈紅葉〉

屯所の自室で紅葉は泣いていた。 報告ついでにこっそり言うことも可能だったはずだ、と。 でも冷静に考えると、それで上手く行ったかとは限らなかった。 何より自分が傷ついていた。突き放したくせに、という自分を責める思いと、稔麿とともに支え合う、そう決めたのに稔麿を傷つけた。また、素直に稔麿を求めてしまう自分がいた。 どんなけ沖田に求められても、稔麿がいるから大丈夫と、冷静でいられた。 いざ自分が突き放したくせに求めるのは違う。自分勝手なことだ。 なのに、行き場のない気持ちを涙にするしかない自分が無力だった。 今朝、古高俊太郎が嘘の計画、正確に言えば一部の過激派が唱えている作戦を吐いた。 明日の夜。会合がある。私は行けないけど。 どうか、どうか、皆が無事でありますようにと願っているうちにつかれたのか、寝てしまった。
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