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偽りに嫉妬する。
「で、ここの甘味がすこく美味しいんですよ!ぜひ食べさせたくて・・。」
彼は沖田総司さん。
今こそ機嫌が良くて、ニコニコしていて、理想の優しい恋仲だが、ホントは違う。
「有難う御座います。私も沖田さんと一緒に甘味が食べられて幸せです。」
のほほん、と注文したあと、話していたときだった。
「きゃああ!」
可愛らしい声が聞こえたかと思うと、
「ああん?こちとらお前さんの足を踏まれて骨折ったんだよ!!これじゃあ天下の尊攘活動もできねえだろ!!どうしてくれんだ?」
見るからにゴツい不逞浪士が刀を看板娘の首に当てている。
「うわあ。災難ですね。斬られなきゃいいですけど。」
幸い私達は浅葱色の羽織を着ていないから、止めなかった責任とかは会津藩から言われることはない、じゃなくて、ここで颯爽と助けないのが本当の沖田さんだ。
「・・・。助けないんですか?」
無駄だと思いつつ聞いてみると、キョトン、とした顔してから笑われた。
「やだなあ。助けるわけがない。だってこんなの京では虫みたいに湧いてるんです。いちいち助けてたらキリがないでしょ。って前も言いましたよ。だからってあなたが助ける筋合いはないので行かないでください。」
と、私の腕をつかんでくる。
「・・・、そうですね。」
静かに上がりかけていた腰を下ろした。
その時だった。
「ねえ、どこの面が尊攘活動とかほざいてるわけ?」
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