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「 静かね〜 」
「 そうだね 」
叔母のみどりの呟きに、苦笑いで返すあすみ
近所の除夜の鐘が響く中、コタツに入って蜜柑に手を伸ばした
毎年恒例の歌番組が終わったテレビでも、除夜の鐘が鳴っている
「 明けまして、おめでとうございます 」
テレビから聞こえた声を合図に
「 明けましておめでとう!あすみちゃん、今年もよろしくね 」
「 おめでとう!叔母さん。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします 」
2人は、新年の挨拶を交わした
「 さてと、私もう寝るけどあすみちゃんは? 」
「 あ、うん。私も寝るよ 」
テレビを消すと、それぞれの部屋に2人は向かった
ホントに静かだなぁ
日頃賑やかな若葉荘だけに、この静けさは寂しいというか
物足りないんだよね〜なんか
そんな風に考えるあすみ
階段を登って、ふと
とある部屋の前で立ち止まった
アイツはもう寝ちゃったかな?
この部屋の主の今は帰省中である、ゆうすけの顔を頭に浮かべたあすみの手の中で
不意にブーブーと音が鳴った
「 あっ!! 」
液晶に浮かんでいる「 ゆうすけ 」の文字に驚いて、あすみは
持っていた蜜柑を落とした
「 も、もしもし 」
転がった蜜柑を追いかけながら、電話に出たあすみに向かって
「 あっすみちゃ〜ん!あっけましておめでと〜っ! 」
相変わらずの元気な声
ゆうすけの声が聞こえて来た
「 あ、おめでとう 」
何をドギマギしているのか、自分の部屋に入るあすみの胸が、早鐘を打ち始めた
「 あすみちゃん?何?もう眠いの? 」
「 え?ううん?な、なんで?てか、なんで電話なんか 」
様子のおかしいあすみに、直ぐに気づくゆうすけに、益々どぎまぎしてしまうあすみだ
「 ええ!?日頃お世話になってるあすみちゃんに、新年の挨拶をってせっかく思って電話したのに〜。なんかって何だよ!ひっでぇな〜 」
「 え?あ、ご、ごめん!そんなつもりじゃなくって!珍しいから!まさかアンタから電話がかかってくるとはお、思ってなくって 」
慌てて言い募るあすみだったが
「 ナイショだよ? 」
囁くようなゆうすけの声がして
「 ・・・はへ? 」
思わず変な声が出てしまう、あすみ
「 この電話は〜、2人だけの〜、ひ、み、つ 」
「 ○☆*○!? 」
声にならないあすみに向かって
「 じゃ!今年もよろしくってことで!おっやすみ〜👋 」
「 は?へ?あ 」
電話は切られたのであった
「 ちょっと〜!何だっつうのよっ! 」
揶揄われたのに違いない
少し経って冷静さを取り戻したあすみは、そう思った
たく!もう!あんにゃろめ〜
「 ボスッ! 」
ウサギのぬいぐるみの「 ウースケ 」に、一発かますあすみであった
若葉荘の2024年は、まだ始まったばかり
帰省中のみんなが帰って来るまでは、静かな冬休みなんだろうね😉
チャンチャン♪
おしまいであ〜る😁
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