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その後、真亜子はテニス部を辞めた。
同期の良美はそのまま続けたが、
真亜子だけが退部届を出した。
良美は薄々気づいているようだったが、
気を遣って何も聞いてこない。
そんな中、社内報で健介に異動の辞令が出た事を知る。
健介は地元北海道の支店へ転勤する事が決まった。
その時、なぜか真亜子はホッとしたのを覚えている。
ずっと後ろめたい気持ちのまま、彼と同じ関東にいるのは辛い。
健介が北海道へ行ってしまえば、
その心の重荷も少し軽くなるのかもしれない。
真亜子はそんなズルい考えを持つ自分に、ほとほと嫌気がさしていた。
それから二年が経ち、真亜子は同じ支店の社員と結婚が決まる。
社内恋愛なので、皆が祝福してくれた。
真亜子は結婚前に退職する事が決まっていた。
退職の一週間前、社内便で真亜子宛てに荷物が届いた。
『誰からだろう?』
そう思いながら、その荷物を開けてみた。
すると、中には箱が入っている。
その箱を更に開けてみると、木製のオルゴールが入っていた。
メリーゴーランドの形をした、とても可愛らしいオルゴールだ。
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