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それを見た後輩が、
「真亜子先輩、すごく素敵ですね! 結婚のお祝いですかぁ?」
と言った。
何も知らない後輩は、素敵なお祝いですねーと楽しそうに笑う。
しかしその時の真亜子の目には、涙が浮かんでいた。
なぜなら、プレゼントは健介からだったからだ。
健介は、北海道からわざわざこれを送ってくれたのだ。
もしかしたら、私が結婚退職をするのを知っていたのかもしれない。
きっと誰かから伝わって知ったのだろう。
真亜子は涙で霞む目から涙がこぼれ落ちないように、
必死でこらえた。
その時婚約者の正樹が、外回りから帰って来た。
そして、泣きそうな顔をしている真亜子を見ると、
少し心配そうな表情をしていた。
しかし、その後正樹にオルゴールの事を聞かれる事は一度もなかった。
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