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そこで私はハッとした。
『随分昔の事を思い出していたわ。私も年ね...』
そう思いながら、真亜子は目の前にある懐かしいオルゴールを手にする。
すると、販売員の女性が近づいて来て言った。
「そのオルゴールは、今年いっぱいで閉館になる北海道のオルゴール博物館の物なんですよ」
真亜子はその事を知っていた。
なぜなら、その博物館は、健介の実家がある街のオルゴール博物館だからだ。
あの時健介から送られてきたオルゴールは、結婚前に処分した。
それを持ったまま結婚するのは、正樹に申し訳ないと思ったからだ。
しかし今目の前には、あの時処分したオルゴールと同じものがある。
「すみません、これをいただけますか?」
真亜子はそのオルゴールを買って帰る事にした。
あの時健介にした、酷い仕打ちに対するせめてもの償いに...
そして、オルゴールを捨てた事をずっと後悔している
自分の為に...
真亜子はオルゴールを大切に抱えながら、デパートを出た。
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