444人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
でも今なら聴ける。
真亜子はすぐにオルゴールのメロディーを流し始めた。
「~~~♪~~~♪~~~♪」
その曲は、
リストの『愛の夢』
だった。
真亜子は昔、この曲が好きだと健介に話した事があった。
健介は、真亜子の好きな曲を選んでくれていたのだ。
切なく優しいその音色を聴いていると、
真亜子の瞳からとめどなく涙が溢れて来る。
あなたはどんな思いでこのオルゴールを選んでくれたの?
あなたはどんな思いでこの曲を選んでくれたの?
あなたはどんな思いでこのオルゴールを贈ってくれたの?
真亜子は嗚咽を漏らしながら、泣き続けた。
その切なく優しい曲は、
長い間心の奥で凍り付いていた真亜子の苦しい思いを全て溶かし、
涙と一緒に外へ流し始める。
とにかく、真亜子は泣けて泣けて仕方がなかった。
『あなたに会いたい...会ってあの時のお詫びをしたい、いえ、しなくちゃいけないのよ...ごめんなさい...どうか許して......』
真亜子はしばらくの間、声を出して泣き続けた。
最初のコメントを投稿しよう!