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翌日、真亜子は仕事が休みだった。 朝から忙しく家事をこなす。 家の中を丁寧に掃除すると、 心が少しすっきりとしたように思えた。 午後は紅茶を飲みながらパソコンの前に座る。 そして、無意識に『小澤健介』という名前を検索していた。 すると、すぐにいくつかヒットした。 どうやら同姓同名の何人かが、有名SNSサイトに登録しているようだ。 慌てて真亜子はそのサイトにログインする。 そして、何名もいる同性同名のプロフィールを、 一つずつチェックし始めた。 一人目の小澤健介は、現役の大学生だった。 二人目の小澤健介は、国立大学の医学部の教授だった。 三人目は、画像を見ると高校生のようだった。 四人目は、海外に住む画家だったので、これも違う。 五人目、六人目…も違った。 そして七人目の写真を見た瞬間、真亜子の心臓が高鳴る。 そこには、少し白髪が混じった健介の笑顔があったからだ。 昔とほとんど変わらない爽やかな笑顔は、 一瞬にして真亜子をあの頃に引き戻した。
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