エピローグ

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エピローグ

そして、 一日が経ち、 二日が経ち、 三日が経った。 真亜子は家でも外出先でも頻繁にメッセージをチェックしていたが、 返事はない。 そして四日が経ち、 五日が経ち、 一週間が過ぎる。 二週間待っても返事はなかった。 三週間経っても、まだ来ない。 三週間を超えた所で、さすがの真亜子も不安になる。 むしろ諦めに似た気持ちが芽生え始めていた。 「やっぱり遅かったのかも.......」 思わず涙が溢れそうになる。 真亜子は健介に一言謝りたかったのだ……ただそれだけなのだ。 それなのに、謝る事も許されない状況になっているなんて思いもしなかった。 真亜子は絶望感に打ちひしがれながら、思わず両手で顔を覆う。 そして、すすり泣き始めた。 その時、パソコンの通知音が、「ピコンッ!」 と鳴った。 『えっ?』 真亜子は涙を流したまま慌ててパソコンのメッセージ画面を開く。 そしてそこで目にしたのは... 【久しぶりだね、メッセージありがとう! 心配かけちゃったみたいだけれど、まだ生きているので安心して下さい!(笑)】 そのメッセージを読んだ真亜子は、声を出して泣き始めた。 彼は生きている。 生きていてくれた。 真亜子は涙が止まらなかった。 その時、両手で顔を覆い肩を震わせながら泣き続ける真亜子の背後で、 「チロリンッ!」 とオルゴールが優しい音色を奏でた。 <了>
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