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ただ、戸惑っている自分もいた。
その理由は、当時の真亜子はかなり初心だったからだ。
真亜子は中・高・短大と、ずっと女子校だった。
派手に遊ぶ大学生活でもなかったので、
男性との交際経験がない。
だから、健介から誘われた時、
嬉しい気持ちと戸惑う気持ちが交錯していた。
今の四人での付き合いに満足していた真亜子は、
この関係を壊したくないという気持ちも強かった。
しかし、今隣で健介が返事を待っている。
そこで、
「うん、いいよ」
真亜子はそう答えていた。
平静を装って答えたが、心臓がドキドキと高鳴っている。
それを聞いた健介は、ホッとしている様子だった。
「じゃあ今度映画でも行くか!」
健介がそう言って笑ったので、
その爽やかな笑顔に吸い込まれるように、うんと頷いていた。
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