12.借りっぱなしのマンガ

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12.借りっぱなしのマンガ

「でも、そんな父親は何年か前に死んだって話を聞いた。高校教師だったんだけど、部活動の生徒にも体罰してた。それが原因で教師も辞めて、それで酒に溺れて自分で……」 「とにかく、ヒロトは絶対に僕の店に来てくれよ」  マスターはヒロトの言葉を遮るように強く告げた。 「そうだね。あの街にはあまりいい思い出はないけど、翔太の店には行ってみたい。きっと立派な店なんだろうね」 「別に立派ってわけじゃない。小さい店だし。それにリニューアルオープンのためにずいぶんと借金して、それもまだぜんぜん返し切れてなくて困ってるくらいだよ」  マスターの言葉にヒロトが笑った。 「ヒロトが来てくれたら、借りっぱなしのマンガ返すからさ」  マスターの言葉にヒロトは深くうなずいた。 (おわり)
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