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 傷の男が、”髭”の事を教えてくれた。  ”髭”の名前は、ギズ。  伝説の風の目の生き残りだった。  ギズは、それを知らなかった。一族は、裏切りに遭い、散り散りになり、子供たちは隠された。  縁あって、ギズは、とある村に引き取られたが、村は貧しかった。  ギズは、子供の頃から体は大きい方で、自立する為に成人を待たず村を出て傭兵になった。その後、傷の男、ガクと出会った。  戦場で戦う内に、ギズは、自分の血の因縁を思い出した。そして、部隊の指揮官が、それを知った。  魔弓の射手は、普通の弓兵では届かない場所にいる標的を倒すことが出来る。ギズは、兵器として、酷使された。  部隊は、連戦連勝していたが、ギズは心身とも激しく消耗した。  ついに耐えきれなくなったギズは、脱走した。脱走者は追われる身となる。身を隠し、名も隠した。  数ヶ月前、ギズとガクは、偶然再会した。ガクは、故郷を救いたく、悪いと思いながら、ギズに助けを求めた。  ギズは、戦友に応え、何度か力を振るった。ガクは、まさか、敵側にも風の目がいるとは思っていなかった。 「すまなかった」 と、ガクは、言った。    ギズは、最初の一撃で、領主と十騎の騎兵を倒していた。残りは、味方の騎兵と農夫たちで追い返すことが出来た。  あれから、弓は、うんともすんとも言わなくなった。弓が特別なのでは無く、特別な血が魔弓を作るのだろうと、ガクは言った。 「じゃあ、俺は、何で使えたの?」 「さあ。ギズの死んだ後も、暫く力が残っていたのかも知れない。或いはお前も、風の目、とか」 「でも、家族は普通の人だった」 「そうか。お前、俺と一緒に来ないか。助けが必要なんだ」 「行く」 カイは、悩むことなく答えるのだった。  
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