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後日、洗濯物を干そうとベランダに出たとき、結愛は再び鳴海と会った。
鳴海はこちらに話しかけてくるわけでもなく、ただ黙々と煙草を吸っていた。
「煙草、お好きなんですか?」
空虚な表情を浮かべている鳴海のことが気になって、結愛は声をかけていた。
「まあまあ、かな。いる?」
「いえ、煙草は吸わないので大丈夫です」
「そう……」
鳴海が残念そうにしているのを見て、結愛もなんだか申し訳なくなってきたが、煙草は害だと思っているため、貰いたくはない。
煙草の匂いも嫌いだし、副流煙の影響を考えると余計に煙草を好きには慣れない。
正直なところ、煙草を吸ってる人の近くにいるのも好きではない。
それでも、結愛は鳴海のことが何となく気になったので、話をしてみたかった。
「お姉さんって学生ですか?」
結愛は大学生であったため、もし、歳が近ければ友達になれるかもしれないと思った。
「お姉さんじゃなくて、鳴海でいいよ。お姉さんって言われるのももどかしいし……。それと、一応社会人だね」
一応って何だろう、そう思ったがあえて聞き返さなかった。
こんな真昼間にベランダで煙草を吸っているのも含めて、普段何をしているのかは聞きづらかった。
「それじゃあ、僕よりも年上かもしれないので鳴海さんって呼ばせてもらいますね。僕は北島結愛です。結愛で大丈夫です」
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