千夏、走る

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 競技は滞りなく進められた。  足の長い子。色の白い子。目が行くのは、女の子ばかり。競技なんて二の次。  そうこうしていると、俺の出場する大玉転がしの呼び出しがかかる。仕方なく立ち上がり、入場門へと急ぐ。  運動神経のない俺は、とりあえず周りに迷惑をかけないよう、卒なく競技をこなす。この辺の良識は、一応あるつもり。  何とか転ばずに、次のグループへと繋げられた。俺にしては上出来だ。  全てのグループが大玉を転がし終え、順位が告げられる。俺たち紅組は2位。なんだ、優秀じゃん。  テントに戻って一息。競技の終了を待ち続けるという苦行にも耐え、何とか午前中を乗り切る。  思うことはただ1つ。  早く終われ。
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