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「よっしゃあ、俺五連勝!」
嬉しそうにそう宣言した香藤先輩は、残っていた最後の一枚を木製の重たそうな机の上に投げた。
そしていそいそとチョークを手にして後ろの棚の上に置いてある黒板に一本線を付け足した。黒板には香藤先輩と仲渡先輩の名前が書かれていて、その横には沢山の正の字が並んでいた。
香藤先輩は手についたチョークの粉をパンパンと手を払って落とすと、得意気に仲渡先輩の前の席に座った。
「俺の勝ちは確定だな。仲渡、さぁ何を奢ってもらおうか」
楽しそうに話す香藤先輩を、仲渡先輩はじろりと睨んだ。
「あぁ? 何言ってるんだお前。まだ勝負はついてないぞ」
仲渡先輩はバラバラに積まれたカードをかき集めてまとめると、慣れた手つきでシャッフルした。
「もう一回やるぞ」
「臨むところだ!」
「……あの」
思わず俺が声をかけると二人は一斉に振り返った。
「なんだよ一ノ瀬」
「いや……あの」
俺は一度深呼吸をして再び口を開いた。
「書かなくていいんですか? さっきからゲームばっかりやってますけど」
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