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「シンプルなゲームの方が心理戦が面白くなるし、後は運次第だから文句も出ねぇだろ」
「な、なるほど」
「お前にしちゃ珍しくまともなこと言うじゃねぇか」
香藤先輩の褒めているのか貶しているのかよく分からない言葉を仲渡先輩は気にも留めずに続けた。
「じゃ、先に二回勝ったら抜けな。一番最後に残った奴が奢りってことで」
「おい、先に自分の希望のジュース決めとこうぜ。俺サイダーな」
香藤先輩が近くにあった誰のか分からないプリントを裏返して、ペンを走らせながら言った。
「一ノ瀬は?」と聞かれ、いいんですかと言いつつ答える。
「あ、じゃ俺コーヒーでお願いします」
「コーヒーな。……仲渡は?」
仲渡先輩は少し考えて膝を叩くと答えた。
「やっぱり俺、ジュースじゃなくてパンにするわ。クリームパン」
仲渡先輩のこの言葉に、
「えぇ!?」
「はぁ!?」
思わず俺と香藤先輩は声を上げてしまった。
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