第二話 少年は社会の荒波に揉まれて大人になっていく

6/16
前へ
/101ページ
次へ
 俺と香藤先輩が仲渡先輩の言葉に声を上げた理由は、この学校の構造にある。今俺たちのいる部室がある、文化部の部室や理科室などが集まる特別棟と、向かって東に三学年分の教室が集まる教室棟が縦に並んでいる。  その向かって南に職員室や視聴覚室、図書館などがある管理棟が横に並んでいる。  その管理棟と教室棟を、一階と二階に伸びる渡り廊下が結んでいて、二階の渡り廊下の真ん中に、昼だけ店を構える売店スペースがある。  自動販売機があるのは売店前、一階の昇降口前、そして管理棟の更に南にある体育館前。その内、パンの販売機があるのは昇降口前と体育館前の二か所だ。  料金は学生向けに設定されていてジュースとあまり変わらないため、それほど問題ではない。  問題は……。 「お前、クリームパンって体育館前にしかないじゃねぇか!」  そう。昇降口前と体育館前では微妙に内容が違っていて、仲渡先輩の指定したクリームパンは体育館前にしかないのだ。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加