第一話 これが文芸部の日常です

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「大沢さん遅いねぇ、何のんびりしていたんだい?」  入ってきた二人にまず声をかけたのは真城先輩だった。 「うるさい真城、あんたにいちいち言う必要ないでしょ」  そうやって睨み合う二人。この二人の仲はすこぶる悪く、喧嘩しない日はないほど。 「でも遅かったね、何かあったの?」  ゲームを再開させた柳井部長が橋口先輩に尋ねると、橋口先輩は肩をすくめて答えた。 「ううん、何も。ただ先生の所に質問しに行ってただけ」  そう言って橋口先輩は自分のノートと、ついでに大沢先輩のノートも手にすると机についた。  棚からノートの姿はなくなった。 「ノート、ここに置いておくからね」 「大体大沢さんは……」 「何であんたにそんなこと言われなきゃいけないの!」  橋口先輩が丁寧に知らせているけど、大沢先輩は真城先輩と喧嘩の真っ最中で気付いていない。 「喜多川―帰りカラオケ行こうぜ」 「え、俺お金ないよ」 「なんだ、お前ノリ悪いぞ!」 「しょうがないだろ!」  喜多川先輩が可哀想に思えてきた。 「紀藤―今日の宿題の範囲教えてっ」 「またなの、滝井ちゃん。まぁいいけど」  そんな会話が狭い部室内で交わされている。  ふと会話に加わっていない柳井部長を見ると、他の先輩達の様子を眺めていた。いつの間にかゲームを止めていたらしい。
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