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また会うことができたなら
あれから数週間。
私の症状は治まり、病院に行かなくてもいい状態なのに、自然と足が病院に向いていた。
久城さんは大丈夫かな、と考えているうちに病院に着いた。
中に入って、辺りを見渡す。やっぱり、外来は人が多い。その中に久城さんはいない。
偶然にもあの時と同じ曜日で時間帯も同じ。それでも、頻繁に来ることはないはずだから会えないかもしれない。
私の予想は当たり、会えるわけもなく、その日は仕方なく帰った。
日を改めて、もう一度行ってみることにした。
それでも、会うことはなかった。
「あら、あの時の女の子じゃない。久城さんに? あの人はいないと思うわよ。毎週通ってるって聞いたことあるけど、急にいなくなったのよね……」
突然、声を掛けられて驚いてしまったけれど、見覚えのある姿と声に一度ほっとする。
久城さんのことを聞くまでは。
「そう、ですか……」
私はどうすることもできないまま、その場に立ち尽くす。
どうしたら、会えるんだろう。
いつかまた、久城さん、あなたに会いたい。どこかで会えると信じて。
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