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真っ青な空、そしてそれを見られるだけの大きな窓。
その空を見上げる、猫と赤ちゃんの後ろ姿。
ああ、幸せだなと感じながらその風景を見守る。
「あ、あ!」
ゆびさし上を見るひとりと一匹。私もつられて上を見る。
窓の外、何かが降りてきた。
窓ガラスをコンコンとたたく人は上から覗き込むように子供に手を振った。
こちらに気が付いただろうか?私も手をニギニギしていたのを。
赤ちゃんが立ち上がり窓ガラスをたたく。
あーあ、せっかく拭いたのに小さな手の後が付く。
そんなのお構いなしで、外にいる人に興奮する子はしゃがんだり立ったりを繰り返し、まるでダンスをしているよう。
外では、洗剤がシュッシュと泡を立て窓ガラスが白くなるのを眼で追っている。
そしてここからだ。
ワイパーが目の前を動き出すと、向こうにいる人の顔が見え始めた。
ワイパーを負う赤ちゃんとそれを眼で追う猫の頭が左右に振れる。
外にいる人もそれをわかっているからわざと遊んでくれる。
仕事中なのに。
白い泡の中に絵を描き始めた、こうなると、どっしりと座り込んで絵を消すワイパーを追いかける様子が楽しくてしょうがない。
隣からスパーダーマンのようにすっと現れたもう一人に目を丸くする子。
立ち上がり、また興奮するように足をグングン曲げ伸ばしダンスが始まった。
向こうでもそれに合わせてくれる。
コンコンと音がして下に降りるという合図。
手を振ると、赤ちゃんの前で手を振った。
まだ話もできないのに、手を振ると、それがサヨナラというのがわかるのか、いやいやをする子。
それでも無情にゴンドラが下りていく、二人は手を振るが、名残惜しそうに手をついたまま下を見ている。
そして見えなくなったのか、必ず私のところへ一人と一匹は来て報告。
あーあ―という赤ちゃんと、ニャーと泣く猫。
「そう、終わったの?行っちゃったね」報告ありがとう。
一人と一匹はまた窓辺へ行き、下をのぞき込んでは、見えなくなったからか、そこへコロンと横になった。まるで兄弟ね。
しばらくは静か、私もこの間に準備をしなきゃ。
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