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レナがいなくなった日の夜。
わたしはレナだったものを見つけた。
冷たくなったレナ。青白い頬と唇。
わたしの借りていた部屋のバスルームで息絶えていた。
手首を切っての自殺だった。
『縁子の部屋、汚してごめん』
メモ帳に書きなぐったひと言。
それがレナの遺書だった。
「いいよ、レナ。汚れたら掃除すればいいだけだもの」
乾いてしまった血をシャワーで流す。
冷たいシャワーをレナにかけ、流れ出た血液を洗い流した。
わたしは警察に通報することはせず、レナを海に連れて行くことにした。
家族に引き取られても、自殺したレナが厄介者として扱われるのが目に見えていたというのもある。
――だったら、彼女の嫌った家族の元ではなく思い出の場所に連れて行ってあげよう。
思い立ったら行動するだけだ。
包丁で体をパーツごとにわけ、少しずつ夜の海に運んだ。
冬だったこともあり、腐敗する前にレナを海につれてこれた。
海に投げ入れたレナの体は、何故か見つかることなく事件になっていない。
レナの家族からも、彼女の捜索願いは出されいない。
更に1年が経つ頃、わたしは警察へ自首をした。
けれど、警察はろくに取り合ってくれなかった。
時間が経っていて立証が難しいと判断されたのかもしれない。
わたしは罪を償うことのないまま、今日もまだ生きている。
End
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