黄泉の夢

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けれど、どこに行けばいいのかはわからなかった。 入り口もなければ出口もない、ただただ緑の世界。 「困ったな。どうすればいいんだろう……」 そんなとき現れたのは、木製のダイニングテーブルと椅子だった。 それはひろい草原にポツリと置いてあり、美里に座れというように、椅子と机の間が少しひらいている。 「なにこれ……」 迷ったけれど、座ってみることにした。 やはり何の変哲もない机と椅子だ。 つまらない、と立ち上がろうとしたとき、上から何かが落ちてきた。 「なにこれ」 うつくしく彩られたフルーツか、もしくは豪華なディナーでも降ってきたのかと思いきや。 ただの肉だ。 しかも、あらゆる種類の肉がどかどかと皿に盛られている。 夕飯の残り物をひとつの皿にまとめたときのように、雑な盛り方で。 あまりにダイナミックな食事に、なんともこの美しい景色とはずれを感じた美里は、つい吹き出しそうになった。 「本当におかしな世界ね」 でも、おいしそうには見えた。 焼いてあるのか、茹でてあるのか、どんな調理法なのかわからないけれど。 箸もフォークもないので、手でつまんで一口食べてみる。 すると、 「なにこれ。今まで食べたお肉の中でいちばんかも」 見た目は何の変哲もない肉なのに、味は絶品だ。 いつか旅行先で食べた、数万円するステーキの数倍おいしい。 ついクセになって、食べすぎてしまった。 でも途中で異変に気づく。 「あれ? ぜんぜんお腹いっぱいにならない……」
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