0.prologue

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 奴の言う「適当に花を一本」は『お前の家で待っていてもいいか』という意味合い。  俺が桃色のバラを差し出すのは『わかった』という了承の意味。ちなみに、ダメなときは白色のバラを差し出すことになっている。 「じゃあな」  奴は桃色のバラと引き換えに代金を俺に渡して、立ち去っていく。  その後ろ姿を見つめつつ、俺は思う。  ――恐ろしいほどに、歩き方がきれいな男だと。 (ルーの奴は、一体なにを考えているんだろうな)  あの男は俺に本名を教えてくれない。その代わりとばかりに、『ルー』と呼べと命じてきた。  だから、俺はアイツを『ルー』と呼ぶ。 (今日は、楽しい日になりそうだ)  そう思って、俺は仕事に戻るのだった。
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