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序①(リアル)
【登場】
〈リ〉山先クイナ・八並カイドウ
ナレーション
山先ク:殺された……ってこと?
八並:そういうことらしい。
山先ク:うそ……。うそだ……。
ナレーション:
山先クイナ。この時は二十歳の大学2年生。SYSMAR開発者の一人でもある、千頭和ヒタキの記憶を継承した者。今後に待ち受ける運命を、まだ彼女は知らないでいた。
山先ク:一体、誰が!?
八並:文山だよ。記憶を継承した山先さんなら、それが誰だか知ってるだろ?
ナレーション:
八並カイドウ。46歳。宇佐川コナギの研究後継者。直属の後輩でもないのに、宇佐川から後継者に任命されたことを、不満に思っている。
山先ク:逮捕は?
八並:無理だ。証拠が無い。宇佐川さんのご遺体は文山に持ち去られたみたいで、現状は行方不明扱いだ。
山先ク:……八並さんは、いつ SYSMAR の管理を引き継いだんですか?
八並:ついこの間さ。宇佐川さんが「死んだから後は頼む」って、俺に断りも無く。
山先ク:え? 八並さんは、宇佐川さんが殺されたことを誰から聞いたんですか?
八並:宇佐川さん本人からだ。ほら、このメール。
山先ク:……死んだ? ……のにどうやって?
八並:いわゆるポルターガイストだよ。
山先ク:ポルターガイスト?
八並:幽霊は物を触るより、電気系統を扱う方が得意なんだ。だから宇佐川さんは、死んだ状態でも PC が使えた。「SYSMAR と山先クイナさんを頼だ」なんて遺言を遺してさ。
山先ク:……。
八並:急に頼んだとか言われても、俺には俺の研究が……って、おい! どこに行くつもりだ!?
山先ク:……。
八並:文山に会うのはよせ! あいつは宇佐川さんを殺したんだぞ! おい!
(山先クイナ、八並カイドウの忠告を気にも留めず、駆け出していく)
八並:無事で帰ってこいよ……。
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