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祐介とは、友人に誘われた合コンで会った。うるさくはないが、よく笑う人という初印象の通り、彼は愛情深い人だった。記念日はかかさず祝い、私とくっついているのが好きで、私も知らない私の長所をいつも見つけ、私が体調を崩したり、仕事で失敗したときは、心の底から心配してくれた。
問題なのは、私の方だった。彼の真っすぐな愛をうれしく思うと同時に、それをどうやって返していいのかが分からなかった。手をつなぐの、キスをするのも彼から。記念日にデートプランを立てるのも彼。電話をかけてくるのも、何気ないメッセージを送ってくるのも、ほとんど彼から。
あまりにも受け身な私に、とうとう祐介から出てきた言葉は「さみしい」という一言だった。愛情深い人というのは、さみしがりやでもあるのだと、私は彼を通して初めて知った。
そして彼が私の心を包んでくれたように、私も彼の心を温かくしたい。そう思うだけで何もせずにいた、そのツケが今日回ってきたのだ。
「……喪服、用意しないと」
涙ひとつもまともに流せず、くだらない独り言しか言えなかった。どうしようもなく馬鹿な女。どこかで、誰かが私を罵った気がした。
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