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「僕の笛の音に惹かれるなんて……。僕はまだまだ練習中の身で」 「ご謙遜(けんそん)。もう一つはね。この丘にあるブランコの支柱(しちゅう)が目に入ってね。私の芸の練習に使えると思ったの」 立ち上がり、丘の真ん中にあるブランコの支柱に近づく。 「カルメンさん、ブランコは壊れて、修理中なんです。あるのは、この支柱だけですよ」 アンヘルも、近づいて支柱をコンコンと叩く。 「あたしの芸は、エアリアルフープって言うの。この支柱に太さ25mm、直径1mほどの金属製のフープ(())をロープで吊るして、そのフープを使ってパフォーマンスをするんだ。輪っかの空中ブランコみたいな感じかな」 「へえー。初めて聞きました。エアリアルフープかあ。見て見たいなあ」 「この支柱を貸してもらえるなら、ここで練習ができるんだけど、どうかな?」 カルメンは、斜めの支柱に体を絡めて、アンヘルを見つめる。 「ブランコの修理は、しばらくかかると思うので、貸してもらえると思います。僕から、ここの管理人にお願いしてみます」 「そお! ありがとう。アンヘル。本番前に試しておきたい技もあるんだ」 カルメンが、長身のアンヘルに抱きつく。 「練習は夜するから、明日から来ていい?」 下から見上げるカルメン。
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