会わせ屋~あなたに会いたい人に会わせます~

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「お客様、ですか?」 「やっと会えた」  香芝。もう一度あなたに会いたくて、会いたいと願われるような人間になるよう善行を重ね必死に努力した。あなたに会いたいと何度も願い、決して夢を忘れないよう夢日記をつけた。  そして数か月の後、やっと私は会わせ屋を見つけた。  怪しげなうたい文句に黒いドア。久々に会った香芝は相変わらず整った見目をしていて、ぽかんと開いた口元だけがあの時と違っていた。 「アルバイト希望ですが、客でもあります。階段で振り落とさないようお願いしますね」 「うちは道楽でやっている店なので、満足なお給料はお出しできませんよ」 「副業ですから、道楽で構いません」 「では、どうぞこちらに」  扉の向こうには、暗く長い階段ではなく香芝が待っていた。
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