望み

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「いざ、勝負」 「おお」  式神が素早く私を取り囲む。私は目の前の式神に迫ると、鋭く伸びた爪を振り下ろす。  バチッ。  火花が飛ぶ。式神に結界を張っているのか。  蹴りつけようとすると、その足に別の式神が取り付く。振り払おうとすると、もう片方の足にも取り付いている。  足は放っておいて、両手を目の前の式神に振り下ろす。  バチバチバチッ。バチバチバチッ。  繰り返すと結界に綻びが見えた。爪でこじ開けるように右腕を差し込んだ。  式神の姿が揺らぎ、カサリと破れた紙となって、地面に落ちた。 「うっ」  雪平がうめき声を上げた。式が破れた反動か。  しかし、後ろから羽交締めされてしまった。もう一体の式神が後ろに回っているのは気づいていた。  雪平がすぐそばまで近づいてきた。  このために羽交締めを許したのだ。  ただ、近くで見ても確信が持てない。  私は強引に腕を前に回した。ゴキリと音がして、肩が外れる。式神ごと、腕を雪平の首にかけた。 「何をする」  油断するんじゃない。私は引き寄せた雪平の頭を抱え込み、そっと、首筋に牙を立てた。甘い血の匂いにクラクラする。
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