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夢は見ているがほとんど覚えていないのでわからないけれど、夫の夢を私は見ているのだろうか。
二年経った。夫は極楽浄土でのんびりくつろいでいるか、赤子になってどこかで新たな人生を始めているのではないかと思っている。その邪魔はしたくないから、この世からいなくなった時点で「縁」や「繋がり」は終了でいい。
笑顔の遺影の前で、義父の葬儀などについて報告を済ませた。私の話を黙って聞いてくれるのは写真だからで、チャチャも入らないから話したいように話せる。独り言となんら変わりないと言われたら反論できないけれども。
そうそう、お義父さんと前に話した時、あなたについて言っていたんだけどね。「自慢の息子だと思っている。でも俺より先に逝ったことは恨んでいる」と。そちらで会ったなら小言の一つ二つ聞いてあげないといけないかも。覚悟しておいた方がいいかもね。
私はあなたのおかあさんとは違うみたい。「待っててほしい」とも「あなたにあいたい」とも思わないのよね。
冷たいやつだな、って夫が笑っているような気が……。
〈了〉
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ゆるり来い 待っているからと 逝きし義父
義母は見た夢 信じ見送る
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