怪異対策相談室のお仕事 ~白い犬の話~

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 庭に出る。  ゴミ袋を退けてつくった空間に、リクは大人しくお座りをした。二人は順番にリクを抱きしめ、ドロドロになった首筋にキスをした。二人と一匹が最後の時を交わすのを、宮岡と透太は離れたところから見守っていた。 「……お願いします」 「わかりました」  宮岡が進み出る。リクは真っすぐに彼を見て、まるで生前の彼のように、パタパタと尻尾を振った。  引き金を引く。清めの弾丸が射出され、異形の体を穿った。  リクの体が砂になって崩れていく。それはさらさらと地面に流れ落ち、色を失って見えなくなった。  何もなくなってしまった空間に膝をつき、香世は声を上げて泣いた。彼女の母が肩を抱き、一緒になって涙を流していた。 「香世ちゃん」  一頻り泣き終えた頃、宮岡は彼女の前に膝をついた。頬に残る涙の跡をそっと拭ってやる。 「リクはね、黄泉の国に行ったんだ。その意味がわかるかい?」 「……そこに行けば、またリクに会える?」  宮岡は微笑んで頷いた。 「だけど、一生懸命生きた人しかそこには行けないんだ。香世ちゃんも一生懸命生きよう。寂しくても頑張って、頑張って生きた最後に、きっとまたリクに会えるから」 「うん。わかった」  香世は涙でぐしゃぐしゃになった顔で、精一杯の笑顔を浮かべた。
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