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「恭介は」
「あのね、違う世界に行くと、そのときから周りはその人間がはじめからいたように思うみたい。恭介は、けがをした僕を心配してお見舞いに来てくれて、それで親友になった。帰りに一緒にラムネを飲んだり。でも、大学の授業で久々に再会したときには驚いたけどね」
「この世界の恭介は、本当は私のことは知らないのね」
「そう、でも、奴、君に気があるね」
ぼっと頬が紅潮する。
「あいつ、いい奴だから、向こうの世界に帰ったら、つきあってあげなよ」
「何でそんなこと。それに、帰れるの?」
「君はこちらに来てまだ日が浅いから、大丈夫。あの日と同じように、正門を走り抜けてごらん」
「涼くんは?」
「僕はもう、こちらの世界に根を下ろしてしまったから」
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