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エピローグ
後日。私は太一のスマホを彼の父のところへ持って行った。
この中には、私と彼の思い出が入っている。今の私には重たすぎるが、無かったことにしてはいけないと思った。
私の話を聞いて彼の父は、微笑んで受け取った。そしてこうも言った。
「あなたは、太一の分まで幸せになってください」
「ありがとうございます。……また、ここに来てもいいですか?」
父は優しい目をして頷いてくれた。
アルターは可能性だ。
私が歩んだかもしれない道を見せてくれる魔法の道具だ。
いつかまた、私はくじけることがあるかもしれない。後悔する日が来るかもしれない。
そうなったら、またここに来よう。
幸せになる。そう誓ったあの日のことを思い出すために。
もういない、あの日の私と太一に会うために。
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