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祖父(享年92)
「ゆりこ、こっちに来るのはちいと早うなかか?」
「……お父さん?」
「生きとる玄孫入れたら、わしゃひいひいじいちゃんや」
「お父さん……ごめんね。親孝行もできんで……」
「親孝行か……。ゆりこが一番、肩叩きが上手かったの、思い出すのお」
「ふふ、懐かしい。それでよくお小遣い貰ってたわね」
「わしが死んだ時、ゆりこがずっと泣いとったの、まだ覚えとるわ」
「お父さん、今からでも間に合う? 親孝行」
「わしゃ、まだ暫くこっちに居るけえ、ゆりこと一緒に居れたら充分やわ」
「良かった。まさかまた逢えるなんて」
「そやあ、わしがここ来た時、えりこに逢ったで」
「えりこ? えりこて、あのえりこけ!?」
「そやそや。下見てみい、あの黒い屋根の家に居る赤ん坊。あれがえりこの生まれ変わりや」
「それほんま!?」
「ほんまやで。わしもびっくりやったわ」
「そうかあ。えりこ、また新しい人生を歩み出したんやね」
「ああ、幸せになってくれたらええな」
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