4日目

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「……浮気?」  大介の顔がパッと輝いた。 「今更とぼける気? 毎晩ホテルに行ってたじゃない。インターの側の。キッチリ2時間楽しんできたんでしょ? どうするの? 私と別れてその女と一緒になるの? だったら慰謝料ちょうだい。この家もちょうだい。それくらいいいでしょ! この浮気者! 裏切り者! 大介なんか……」  梓はもっと文句を言いたかった。でも大介は梓を抱きしめ、お喋りな口を塞いだ。大介の唇で。 「浮気なんてしていない」 「嘘! じゃあ何でホテルになんて行ったの?」 「ホテルの内装工事を頼まれたんだ。その打ち合わせだ」 「本当?」 「僕が浮気したって証拠あるの?」 「……ない。写真撮ろうとしたら……エアコンのリモコンだった」 「はあ?」  大介は声をあげて笑った。屈託のない笑顔は後ろめたさなんてまるで感じさせなかった。 「梓ほど面白い人間はいない」 「おっちょこちょいって言いたいの?」 「早とちりだし」 「本当に浮気してないのね?」 「もちろんだよ。神に誓って」 「無神論者のくせに」 「でも神様は怖いよ」 「だよね」  梓は大介に抱きついた。暖かかった。大介を疑った自分が滑稽だった。こんなにも自分を優しく包み込んでくれるのは大介しかいない。梓は大介を愛している事を再確認した。  ふと硬いものが腰に当たった。ポケットの中の口紅だろうか。でももっと大きい物のような気がした。ホテルに行ったのが仕事だとしたら口紅は誰の物なのだろう。確認したかったが今はそんなムードではない。梓と大介はもつれ合いながらベッドルームへと入っていった。
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