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レスリーは姿をあらわさない。帰り道、考えることが何もない。ならば、酔ってみたらどうだろうかと、注がれるまま、酒をあおった。
気が付くと1人だ。やられた。めちゃくちゃに飲まされた挙句、捨て置かれていた。
円卓に半身を預けながらも荒波にもまれているかのような感覚の中、情けない気持ちでいっぱいになった。ことのほかショックが大きい。こんな仕打ちを受けるほどつまはじきか、私は。
心痛に浸る間もなく、サマル派の兵士たちがわらわらと集まって来た。一人がそばへ寄って来たかと思うと大声を上げた。
「なあ、君、ひとりかい?」
「……ん……うう……」
「おおい。こちとら親睦を深めようと声をかけてるのに、無視か? そりゃないだろう」
ああ。思うように返事もできない。彼らは朦朧として覚束ない私を担ぎ上げた。
「仲良くしようぜ」
どうやら、店の裏で仲良くしてくれるらしい。
酒のおかげで、恐怖心は早い段階で諦めに変わった。
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