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彼らは酩酊状態の私をいいように痛めつけたが、その間、ずっとレスリーの事を考えていた。
……ここで助けに、なんてことはないか。
取り留めもなく、ただ、会いたいと考えた。
思えば彼とは毎日会っているといえば、会っているのか。いや、あれは会っているとは言えない。ただ居合わせているだけだ。
彼の堂々とした立ち姿を見るとこちらも身が引き締まる。彼は私を煩わしく思っているだろうから、ぜったいに顔は見ないように細心の注意を払い眺めるのだが……序列上、立ち位置が正面なのは仕方ないとして、うっかり目が合ってしまったら、さぞや不快だろう。
なんだか疲れてきてしまった。痛みに耐えるのをやめたくなり、意識を手放す瞬間はまた波間に揺られる感覚が戻り、そしてふわふわと暗転するままにまかせた。
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