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朝日のまぶしさに目を射抜かれ、気が付くと冷たい石畳で空を仰いでいた。 それからの記憶は曖昧だが、なんとか兵舎に戻れたようだ。きちんと身支度をして、時間通り王への謁見の場に立っていた。
部下数名の肩が小刻み震えている。笑いを堪えているのだ。ひどい頭痛と悪心、体の痛みより、心の痛みのほうが上回る。
なんて情けない。彼の前でこんな姿。いや、そこは心配無用か。どうせ目に入っちゃいないだろう。
この際、近衛兵など辞めて故郷へ帰ろうか。
ふと、そんな考えが浮かんだ。
手柄を積み、位を上げて行けば彼と会合に同席できる。いつかは対等に語り合える日が来る。それを励みに努力を重ねてきたが、もう、これ以上は望めそうにない。
剣技ひとつでここまできたが、徒党を組んでサマル派と対立しない私は、部下たちの信頼が無い。この先、誰の推挙も得られないのならば隊長以上の地位就くことはまず無い。
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