バートランドは怯えていた。

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 ***  その現象が何であるのか、最初はわからなかった。  毎日同じ、二時間目の十時に十分に来る地震。まるで近くに大きなものでも落ちたように、一度だけ大きく揺れるのである。一般的な地震とは何かが違っていた。普通の地震ならば、何回にも分けて大きな縦揺れや横揺れが来るものであるはず。それに、毎日同じ時間に揺れがあるというのも奇妙である。  そう、まったく同じ時間に。  たった一度だけ縦揺れする現象。  まさか本当に、近所に隕石でも落ちているのではと疑いたくなるほどだ。 「さすがに不穏じゃない?」  一週間ほどすぎたところで、僕はパソコンを見ながら長谷川にスマホで電話をかけていたのだった。  パソコンに表示されているのはGoogleの検索画面。調べていてわかったことがいくつかあるのだ。  それは、揺れているのがどうやらうちの学校だけらしい、ということ。学校の友達や先生は“揺れを感じた”と言っているのに、うちの学校の生徒以外に地震を観測した者がいないのである。  なんなら、すぐ近くの小学校に通っている従妹にも聞いてみた。彼女は“地震なんて最近感じたこともないよ”と答える。十時二十分くらいならば、小学校だって授業中であるはずなのに。 「地盤沈下とか、そういうのあったら困るじゃん?毎日少しずつ揺れが大きくなってるなんて、やっぱり何かあるとしか」 『俺もそう思う。どこかで工事してたら道路が陥没したーとか、そういう事件もあるしな。ただ』 「ただ?」 『それなら、学校の外の人間もう揺れに気付いていそうなもんだよなあ。なんでうちの学校の中にいた人しか、揺れに気付いてないんだろうな』 「うーん……」  おかしいのはそれだ。現時点で既に、揺れは震度4レベルに達している。これ以上大きくなるのはさすがにやばい。震度5強くらいまでは校舎も無事だとは思うが、それ以上ともなればさすがに誰も保障できないだろう。というか、震度5の時点で棚が倒れたり、机が倒れて怪我をする人間くらいは現れそうである。  この時、僕はオカルトとか、超常的な現象なんて一切疑っていなかったのだ。  そう、ネットで、あれを見てしまうまでは。 「……おい」  それはいわゆる“異星人”についてまとめた、かなりマニアックなサイトだった。  読み物として見るなら面白そうだけれど、とても現実味がないそれ。でも、地震、学校だけ、毎日、などのキーワードで検索したら本当に引っかかってきたのである。
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