バートランドは怯えていた。

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 *** 「え、マジ?気付かなかったわ」  休み時間になって尋ねてみると、親友の長谷川(仮名だ)は目をまんまるくした。  小学校からの友人である彼は、人の家に泊っても平気でぐーすか寝れるような大物である。多少の物音では起きることさえないタイプなので、気づかなくても無理はなかっただろう。 「地震かあ。まあ、ここ日本だし。地震多くても仕方ないとは思うけど」 「僕もそう思うんだけどさ。ネットで調べてみても、どこかで地震あったなんて情報ないんだよね。うちのガッコが線路や高速道路の近くだったりしたら、電車でも通ったのかなーとか、でっかいトラックの振動かなとか思うんだけど、そういうわけでもないし」 「気のせいだったんじゃねえの?」 「ないない。僕以外にも反応してたやついたんだぜ?」  実際耳をそばだててみれば、女子の数人が“ちょこっと揺れたよね”と話しているのが聞こえたのだった。僕の勘違いではなかったらしい。  勿論、地震速報がないのなら、何か別の揺れを地震と勘違いしただけなのかもしれないが。 「なんかこう、学校全体がずずん、って震えたような不思議な揺れだったんだよなあ。うーんなんだったんだろう」 「さあ?」  僕の疑問に、長谷川は肩を竦めてみせた。 「あんま気にしなくてもいいんじゃね?うちの学校、校舎建て替えて四年しか過ぎてないんだろ。多少揺れたくらいじゃ壊れるほどヤワじゃないって。もとより、日本の建物は震度4程度まではまったくびくともしない構造になってんだからさ」 「まあ、それもそうか」  確かに、不安に思うほどのことではない。この時は僕もそう考えた。海外ならばちょっと揺れただけでも建物倒壊の心配があるが、日本はよほど大きなものが来ない限り大丈夫だと。  しかし。 「え……?」  ずずずん。  その地震は、翌日にも来たのである。時計を見て驚いた。昨日地震があったのと同じ、二時間目。十時二十分ということは時間もぴったり同じだ。 ――なんだ?  その日も晴れだった。しかし、地震が起きた瞬間は少し太陽が陰って暗くなっていたのも昨日と同じである。  僕は一気に心配になったのだった。  何故ならその日の揺れは、昨日と比べると少し大きいような気がしたから。実際、周囲でもきょろきょろしていた生徒は、昨日よりも増えていたのである。
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