1.目覚め

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身長は僕より高い。 と思ったが、どうやらこれは勘違いのようだ。 女性の視線は僕に向けてかなり下げられている。 状況から言えば、女性は立っていて、僕はどうやら椅子に座っているようだった。 ゆっくり視線を下げると、椅子に座って、やはりパジャマを着た僕自身の足が見えた。 ふと見ると、僕の右腕からチューブが延びていた。 そのチューブの先には、大きなパックがあった。 これは、点滴? 僕は椅子に座りながら点滴を受けているようだった。 「どうなの?」 女性はさらに僕に詰め寄った。 状況がよく分からない。 点滴にしても、この女性にしても。 「あの」僕はまた掠れた声を出した。 「ふん、返事は一応出来るのね」女性は鼻を鳴らすと、おもむろに腕を組んだ。 「まぁいいわ。たぶんあなたはここは初めてね」 女性は何だか分からないことを言って勝手に納得したようだった。 「ここって?」僕は女性に聞いた。 「あなたそんなことも覚えてないの?」女性は僕に呆れたようだった。 しかし、女性がいくら僕に呆れようが、状況が飲み込めないことには変わらない。 だったら、素直に聞くしかない。 僕はもう一度女性に聞いてみた。 「ここってどこですか?」そう言うや否や、女性の背後を白衣を着た長身の男性が横切った。 女性は僕の視線に気が付いたようだった。 「そうよ。ここは・・・病院」女性は僕の腕から延びたチューブに視線を向けた。 何となくは分かっていたが、この点滴を見ればここが病院であることは明白だった。 「やっぱり」僕はたった一つだけ分かったことが、あまり良い事実ではなかったことに落胆した。
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