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「なぁ羽菜、聞かせてくれよ。兄貴の様子はどうだった?」
「……あなたにそれを教える必要はありますか?」
「あるんだよ、だってこの事件を起こしたのは俺なんだからな」
そう言うと唐戸は懐からスマホを取りだし私の前で見せつけた。
「連中が送ってくれた音響兵器、アンドロイドだけを狙い意図的に暴走させるこいつはよく働いてくれたぜ」
「な、自分が何をしたのかわかってるんですか!?」
「あぁ分かってるさ、これであいつは責任を問われて解任、その後釜に俺が座るって事だろ?」
愕然としてしまう。
その為に?その為だけになんの罪もない人たちをアンドロイドに襲わせたんですか?
アンドロイド達だって絶対にそんな事したくなかったはずなのに。
「昔っから気に食わなかったんだよ兄貴は。なんでも出来て俺なんかに見向きもしねぇ、ずっと上から見下してくるような傲慢な野郎だったのさ」
「違う、お父さんはあなたのことをちゃんと見てました。グループに誘ったのだって周りの反対を押し切って」
「あぁそうだろうよ、そうやって俺が孤立し苦しむのを見てたかったんだろうぜアイツはよ!」
唐戸の声が倉庫内で反響する。
ありったけの憎悪を吐き出し、血走らせた目はまるで怪物のようにも見える。
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