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動けなくなった藍野を回収し、とりあえず車の中に置いておく。
「藍野。今回はお手柄だったな」
聞こえないと分かっているからこそ素直に言える。
なんだかんだ言って俺も助けられてばっかりだ。
藍野がいるからこそ俺も人探しや裏方に専念することが出来る。
だからこそあんな俺はなるべく見せたくない。
悪影響が出るし、何より巻き込むべきじゃない。
「明日は休みだ、美味いもん食うなり好きにしていいんだ」
本当なら藍野には輝かしい日々を送って欲しい。
だけどまだ世界はそういう風になってくれないから。
それを操ろうとする奴がいるから。
だから同じ綾里の俺がやるしかないんだ。
「さてと、後は三枝さんの回収と。とりあえず事務所に運べばいいか」
見当は着いている、逃げられないように足を潰した車があったからきっとそこだろう。
ドアを開ければまだ安らかな寝息を立てて三枝さんは眠っていた。
その体を背に乗せて車まで運んでいく。
その途中で、空いている倉庫を見つけた。
(確かフランシスだっけか?ここにいたよな?)
中を覗いてみれば入口のすぐ側で倒れていた。
ついでだ、連れて帰ろう。
聞きたいこともあるし、上手く行けば廃棄送りは避けられる。
フランシスと三枝さんを肩に担いでそのまま車へと戻った。
「これで任務完了だな」
後部座席に3人並べておけば後で文句も言われないだろう。
最後に三枝さんの所に連絡しておこう。
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