15人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
「残念ですけど、お父さんはあなたにグループの座を明け渡すことはありません。お父さんはまだ生きてますし、希望だってあります」
何か言い返さなければ気が済まない。
少なくともこの男にグループの座は渡せない。
お父さん達が築いた三枝グループの地位を奪わせる訳にはいかない。
「なんだ?その座に着くのは私だとでも言いたいのか?」
「……覚悟はあります、あなたのような人に渡すくらいなら」
その瞬間、唐戸が弾けたように笑った。
「あぁっはっはっは!!羽菜、お前、いつの間に冗談が上手くなったんだなぁ。俺は嬉しいぜぇ?」
「冗談なものですか、三枝グループを守るためなら私は」
「いいや無理だね、それはお前が1番よく分かってんだろ?」
唐戸はそのまま意地の悪い顔を崩さずあることを告げた。
「お前、誘拐されてあんな事があったもんなぁ?だから兄貴も気が気じゃねぇんだろ?いつその秘密が知られるかなぁ?」
「ど、どうしてそれを?」
「そいつは簡単さ、だってあの誘拐事件も俺が依頼したんだからな」
その瞬間、頭の中が真っ白に染まる。
次々にフラッシュバックするのはあの日の忌まわしい記憶、攫われた瞬間、お父さんに助けを求めたこと、そしてーーー
最初のコメントを投稿しよう!