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その言葉には目を背けたくなるほど強い信頼があった。
フランシスがお父さんを攻撃したのはあくまで私のため。
でも違う、彼はいいように利用されてるだけ。
そして私もまた、フランシスを裏切らせるために利用されただけだった。
「保護ねぇ、なぁフランシス。なんで俺がお前に目を付けたか分かるか?」
「まずは私の質問に答えてください、羽菜様を保護するという約束のために私はお二方に刃を向けたのですから」
「あぁそれな、悪いが守る気もねぇんだわ。それにお前がいればもっと都合よく話が進むからなぁ」
「貴様!!」
フランシスが激情とともにナイフを構え、唐戸に詰め寄り刺そうとする。
しかしあと数センチ伸ばせば届いたはずの刃は唐戸の目前で止まる。
それはアンドロイドと人間の間にある権利。
【アンドロイドが主を害してはならない】という絶対的な権利だった。
「やれるかよぉ!?この俺を!命令に従うだけのガラクタ風情がよォ!!」
そう言いながら唐戸は一方的にフランシスを殴りつける。
「奴らの手引きもあったとはいえ、お前に不信感を抱かせるのは簡単だったぜ。羽菜のことを引き合いに出したらあとは適当な嘘だけでこっちに鞍替えしてくれるんだからボロいもんよ」
「は、初めから全て、嘘だったのか……」
「あぁ、それがお前らの欠点さ。命令には絶対忠実で疑いもしない、役目を果たすだけの人形がよぉ!」
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