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嘲笑いながら唐戸はフランシスに唾を吐く。
彼も反撃できない、アンドロイドの彼にそれは許されない。
唐戸に権利を譲り渡してしまった以上、主に背信をする事は出来ない。
そして間柄を解消する事ができるのは唐戸だけなのに、彼はそれをしない。
「安心しろよ、壊さねぇでおいてやる。お前にはまだやるべきことが残ってるからなぁフランシス」
「ゲスが……」
「ハハハッ、まだそんなことが言えるのなら問題はねぇな」
唐戸は勝ち誇ったように高笑いをする。
きっとこのままじゃ、フランシスは全ての罪を負わされる。
唐戸がした事まで被せられてしまう。
それなのに私もフランシスも、唐戸を止めることは出来ない。
このままじゃグループもアンドロイドも全てが終わってしまうというのに、ただ見てるだけで何もすることが出来ない。
私ができることといえばもう、待つだけだ。
(お願い藍野、綾里さん、助けて……)
護衛を依頼した時に2人から貰った指輪はまだ光っている。
だからここまで来ることはきっとできる。
だけど、そのあとの私に何ができるだろう。
お父さんの夢を継ぐことも出来ず、ただの弱点でしかない私はどうすればいいのだろう。
どれだけ考えても答えは出ないまま、その時が訪れるのを暗い倉庫の中で待つだけしか、私には許されなかった。
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